2014年2月4日火曜日

丈草「淋しさの底ぬけてふるみぞれかな」・・・





朝から小雨が降っていたが、雪がまじり、午後少しには霙になった(いまは雪)。
内藤丈草は江戸中期の俳人。本名内藤本常(もとつね)、別号を仏幻庵・太忘軒。元禄二年、芭蕉に入門、同六年、近江の無名庵に移り、孤独の生涯を送った。蕉門十哲の一人。
ある書によると「底の」の語彙は丈草の詩情のキーワードであるという。果たして掲出の句は「底ぬけて」が卓抜なんだそうである。他にも「底」を探すと、
   
     水底を見て来た皃(かほ)の小鴨哉       丈草
     水底の岩に落ちつく木の葉哉

眞鍋呉夫句集『雪女』に丈草を詠んだ句がある。

     丈草が好きで釜屋の艾(もぐさ)買ふ      呉夫

詞書に「日本橋小網町の艾は江州伊吹山の産なりとぞ」とある。
釜屋は、創業萬治二年、現在も艾を商う専門店だ。愚生が愛用しているのは「カマヤミニ」という温灸である。愚生の子どもがまだまだ小さかった頃、夜中に耳が痛いと泣くので(中耳炎)、救急車というわけにもいかず、(鍼灸師だった操体法の先生に一年間くらい学んだことがるあるので)、「経穴活用宝典」なるツボの本を片手に灸をすえて急場を凌いだこともある。
その(株)釜屋もぐさに天魚子・眞鍋呉夫の句があることを釜屋もぐさに伝えたところ、「カマヤミニ」を一箱いただいたことも思い出だ。
ともあれ、丈草には、近江八景のひとつ「瀬田の夕照(せきしょう)」を詠んだ、浮世絵を思い起こさせるような「幾人(いくたり)かしぐれかけぬく勢田の橋」がある。

              
    

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