2014年8月15日金曜日

「365日が終戦記念日の国で」・・・



今日は敗戦記念日・・・。東京は35度近い猛暑である。
先日の現代俳句協会の第32回新人賞選考委員会で、愚生が最後まで推した作品のタイトルが「365日が終戦記念日の国で」だった。
選考委員の一人は、この題の「終戦記念日」が「敗戦記念日」だったら、文句なく推したと感想を述べておられていた。激論の末、岡田眠「浮力」が受賞。佳作が内田麻衣子「クジラモビール」と決まった。
が、実は、同時二名受賞になるはずだったのだ。そのもう一人が木下竣介「365日が終戦記念日の国で」だった。しかし、電話で受賞を伝えられた木村竣介は30句のなかに一句、既発表作品が含まれているということで辞退となった。ちょっと残念だが、それは応募規定に沿っていないのだから仕方ない。応募するときにもう少し慎重になってほしい(愚痴を言えば、全選考委員がなんのために最後まで彼の句をめぐって激論を闘わせたか、ちょっとつらい・・)。
たしかに、初回に候補作として残していたのは、愚生ともう一人の委員のみであったから、その時点ではほとんど受賞の望みはない。その後の話し合いのなかで、句に光があたって、まさかの展開となり、最後の投票で最高点として同点、他の候補作を逆転して並んだのである。
野球でいえば9回、土壇場でホームランが出たようなものだ。
確かに、氏名は不明、年齢も不明のなかでの選考、自筆原稿は少し乱暴だったが、そこに年少の趣を合わせ、みせていた。
「現代俳句」10月号で選評が発表されるので、そこで、句を、少し取り上げるつもりであるが・・・。
この作者はたぶん、俳句の技法の修練を積んではいないが、他のいわゆる俳句的な作品とは違って初々しく、新鮮だったことだけは確かである。それがなければ、選考途中での逆転には結びつかなかっただろう。

      手負いのいわし雲が窓から入ってきた          木村竣介
       暴力の優しい気配がしてなめくじ
                  グラジオラス笑いかたと泣きかたが同じ
      過去ログに果てなくアヤメを植えてきた
      鹿の国ダウンロードはしつこくした
      パスワードすべて一桁の春になる
      絡み合う糸をほどくが春にはするな





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