2014年8月29日金曜日

「鬣」TATEGAMI、特集 追悼・松原令子・・・



「鬣」第52号の特集の一本は「追悼・松原令子」。毎号、「鬣」の表紙裏(表2)にモノクロ写真が載っていた。その写真作家である(早逝であろう)。
愚生は、本人にお会いしたことはない。
いつも、その写真をなんとなく眺めていただけだ。
でも、どこか気にかかっている写真だった。
そんなこともあって、愚生が文學の森に勤務していた頃、確か「言葉のないエッセイ」という写真のページがあって、編集会議の折に、推薦したことがあったが、あえなく却下され、実現しなかった。
今回の追悼特集で松原令子がリブロ前橋、愌乎堂の書店員だったことが書かれていたので、愚生も書店員時代を過ごしたことがあり、その親近感も手伝ってか、きっと見事な棚を作った人に違いないと思ったのである。
「鬣」同人諸氏の松原令子への涼やかな愛情のうかがえる特集だった。
句会に誘われて、俳句も作られたことがあるらしい。未発表の遺作がある。以下に転載したい。

      海風の坂に記憶はうずくまり     松原令子
      手品師の指よりコバルト色こぼれ
      港町修道女ついに凧となり
      淡色の約束空へ昇降機
      秋の河忘れし夢の澄んでいて
 
そして、各人の追悼句挙げておきたい。

      夢見る頃を過ぎても知りたる陰翳ぞ        上田 玄
      白黒(モノクロ)の木馬に風や令子逝く       後藤貴子
      この初夏の空のどこかに君昇る          佐藤清美
      写し世のブルースる松落葉            田中霆二郎
      松原令子の猫よ天河を徒ち渉れ         中島敏之
      お気に入りの歌はつなつの空にまだ       永井貴美子
      モノクロの写真を置いてゆく            西躰かずよし
      見越(みこ)しの松(まつ)に初夏(しょか)の陽(ひ)いっぱい令子逝(れいこゆ)  林 桂
      陽子美登利秋櫻子(こすもすこ)松原令子     堀込 学
      野良猫とセピアの町へ入りたまふ          丸山 巧
      友よこの最後の夜をリラの花            水野真由美
      育つ樹のなかに眠れば緑の夢           吉野わとすん
  
      (まつ)
      原初(げんしょ)
      令月(れいげつ)(きよ)
      (こ)は睡(ねむ)                  中里夏彦

                                           フウセンカズラ↑

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