2014年11月10日月曜日

磯貝碧蹄館「白桃のお手玉笑い上戸好し」・・・・



「白桃のお手玉笑い上戸好し」の句に「糸大八句集『白桃』を祝す」と前書きがある。
句集『白桃』(糸大八句集刊行委員会)は糸大八の『青鱗集』『蛮朱』に続く第三句集であったが、闘病生活の続く糸大八を励ます意味もあって「円錐」の仲間たちが糸大八刊行委員会を組織して句集を出版した。つまり碧蹄館主宰「握手」の同人でもあった糸大八の句集刊行を祝ってのものだ。その糸大八も今は冥界の人。
今回、朝吹英和の手によって『磯貝碧蹄館 遺句集』が出版された。朝吹英和は「握手」の編集長だった人、碧蹄館の第10句集『未哭微笑』以後、平成18年から「握手」終刊の平成24年までの句から334句を選び出している。
碧蹄館は大正13年生まれ。17歳で川柳を始め、19歳で感動主義の萩原籮月、内田南草に師事。28歳で中村草田男に師事。のちに句と書の一体化を志し金子鴎亭に指導を受けた。50歳で「握手」を創刊した。昨年3月14日に逝去。享年89。
碧蹄館の句集お祝いの会などでは、池袋・ホテルメトロポリタンがよく使われたという記憶が愚生にはある。碧蹄館はいつも意気盛んというか、いつも情熱的であった。一時、病に倒れたのちもそれは変わらなかった。出合いは、たぶん糸大八の配慮で、若造だった愚生にも声がかかったのだと思う。
シンプルな遺句集だが、それが良い。

       胸に棲む獅子の雌伏や初御空       碧蹄館
           朝吹英和氏の『時空のクオリア』を祝す
       冬陽炎繭の時空に楽起す
       死者へ炊く飯は雪より白く炊く
       梅雨の電柱老の左手で叩いてやる
       青天六日天に塵なく筆洗ふ
       戦争の中に消えざる臼と杵
       鞦韆は首を切る音傾ぐ空
       野良犬にたつぷりとある春の水 



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