2014年11月9日日曜日

森泉理文「山の神林道水源涵養保安林根雪なり」・・・



島田牙城は「理文さんは終生の友なのである」と言う。だからというわけではないが、実にいい仲間を持っているのだなぁ・・・。そう思わせる句集である。
森泉理文「あとがき」には「たいへん申し訳ないことに、この句集を読んでいただくために送ることになっている。どこか開いていただければ嬉しいです。でも無理はしないでください」とある。
森泉理文句集『春風』(邑書林)は、どうやら「里叢書」第一号のつもりらしい。ここからは愚生の勝手な想像だが、「里」の仲間たちは島田牙城をほんのわずかでも助けたいと、島田牙城に好きな仕事をさせようとしているのであろう。
愚生だって牙城には、なかなかお世話になっている。例えば、もう30年は以前のこと、「俳句とエッセイ」(牧羊社)という雑誌に「飯田龍太論」を書かせてもらった。それはどうやらお祝いのための飯田龍太特集だったようだが、それに相応しくない批評文を、馘を覚悟で掲載してくれたらしい。いわゆる俳壇では飯田龍太の時代が喧伝され始めたころのことだったように思う。そしてそれは愚生が商業雑誌に俳人論を書かせてもらった最初だった。
彼が邑書林を興してからも様々な企画があったが愚生の非力ゆえに断ったこともある。にも拘らず、攝津幸彦選集、安井浩司選集、「豈」の発売元なども二つ返事で引き受けてもらっている。
もちろん、宝くじが当たったら、第一に彼のところから愚生の駄文集を出したいというのは本当のことだ。
『春風』にはたしかに「〈俳〉が満ちてゐる」。でも、挙げるのは愚生好みの句にとどめる。

      黄花石楠花天上の花と思ふ         理文
      雪嶺に立ち雪嶺のぐるりかな
      雨女衣新調雪女
      道なくてどこへも行ける氷湖
      能登島に須曾蝦夷穴(すそえぞあな)古墳山笑ふ
      彼岸中日登り道あり続きをり
      金泥といふにはあらず黄砂降る 
      

                 桜紅葉↑
        

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