2014年12月7日日曜日

竹岡一郎「邯鄲落とせば空井戸少し湧くかしら」(ガニメデVOL62)・・・・



「GANYMEDE 62」、詩の雑誌とばかり思っていたら、詩歌文藝誌とあって、詩・短歌・俳句・批評、無いのは小説だが、総合文藝誌の趣。とにかく一挙に俳人の搭載数が増えているのに少し驚いた。それもいわゆる結社主宰者クラスというところ、それも句数は多くは50句、また箭内忍にいたっては詠み下し小句集100句というから、いずれも力技というべきか。とはいえ、ここでは全員を紹介する余裕もないので、贈呈をいただいた幾人かの方々と「豈」同人のみ、愚生好みの句を挙げておこう。

   砲撃のいくつが鳩に変はるだらう        青山茂根
   凍結精子ずらり兵士の名が書かれ
   立ち上がるための木が無いよ焦土

   捲らるるへのこへ何で虹の熟(うれ)       竹岡一郎
   ジョージとジュンもつるる溽暑嗚呼うつちやり
   視えるものみな揉みにけり月球も

   糸電話よりがうがうと滝の音           広渡敬雄
   うす紅の貝の箸置き大南風
   ノから乃に四股名を変へて藍浴衣

   拡げたる五指より生まれ海に虹         花谷 清
   弾かれており抱かれており白露
   つゆけしやチェルノブイリの首飾り

   重力は磁石に敗れ蟬の声            関 悦史
   月蝕に勃起止まぬと言ふ男
   ビニール傘もフェンスも枯蔓に呑まれ
   

因みに、搭載された他の俳人諸氏は、鳴門奈菜、増田まさみ、小野あらた、滝澤和治、長嶺千晶、渋川京子、大木孝子、福井隆子、浅井民子、大島雄作、加古宗也、柴田佐和子、対中いずみ、辻美奈子、西山睦、橋本榮治、渡辺誠一郎、ふけとしこ、藤本美和子、峯尾文世、本井英、井上康明。

枯れリュウキュウカラスウリ↑

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