2015年7月10日金曜日

大関靖博「読んでゐる新聞に来て猫昼寝」(『大夢』)・・・



大関靖博第五句集『大夢』(ふらんす堂)はコンパクトながら1ページ五句立て、約400句を収める。彼には重厚な評論集も多い。しっかりした歩みを感じさせる。それでも内面には俳句の修羅を抱え込んでいるのだ。それが、たぶん「最近大愚とか大拙とかいう言葉に心がひかれる」(あとがき)とつぶやかさせているのではなかろうか。俳句発心以来五十五年というから、愚生と同齢にしては、比べるまでもなく愚生よりは早熟だったと思われる。「夢であるならせめて大きいものであったらと願っている」という。
最初に大関靖博に会ったのはいつの事だろう。にわかには思い出せないが、かれこれ三十年くらいにはなるのではなかろうか。あるいは、それ以上かも知れない。信頼している俳人の一人だ。
「轍」を主宰している。1948年千葉県生まれ。

   仏壇に桔梗も混ぜて供へけり              靖博 
   蛍火や未来はひかり過去は闇
   更衣世界は変らねばならぬ
   露の玉地球と海を宿しけり
   起きるとは限らぬけれど冬眠す
   左義長や命は火より火に還る
   啓蟄や無欲恬淡無為自然   




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