2015年7月11日土曜日

北大路翼「首吊りの木に出る道や花の雨」(『天使の涎』)・・・




                                         最上段右側白シャツ・北大路翼↑

昨夜は、新宿風林会館斜前、Hで行われた「北大路翼君を羽ばたかせる夕べ」だった。会場は、にぎやかで熱気に包まれていた。幾人かの人たちに会った。例えば、久しぶりの佐藤明彦、山﨑百花、箭内忍に西原天気、佐藤文香、松本てふこ、そして「豈」の中村安伸、つい先日の愚生の講演に顔を見せてくれた北川美美、また、歌人の江田浩司、詩人の森川雅美、愚生が現俳協新人賞の選考委員だったときの受賞者・近恵などなど・・それに、『天使の涎』(邑書林)の社主・島田牙城には、大事な話も直接できた。
会は百人近くはいただろうか。地味な俳人諸氏よりも、『天使の涎』に集った様々な人たちの祝福であたたかく盛り上がった。句集収録句は2000句、吐き出した句が一年一万句というから、愚生には到底真似ができない。
生き方そのものが俳句というわけである。生即俳句、そして、参加者の中には、いかがわしくも女装と俳句という、どこか哲学的かつ風俗的な思考がささやかれてもいた。
「女装や俳句でも世の中を変へられることをいつまでも信じよう」(「感謝にかへて」)
ともあれ、北大路の俳句形式が新しくなっている訳ではない。五七五の形式にのせて(旧かなで書かれ、新かな使いでないのが、ぺダンチックで、少し気に入らないが)、それなりの言葉の秩序を創り出しているのだ。それは、まさしく北大路翼の生即俳句の面白くも興味あるところだろう。締めの言葉は、

  世の中はさみしいことであふれてゐる。
  棄てれば虚しく、受け止めれば悲しい。
  どちらもできない奴を不良と呼ぶ。


北大路翼 1978年神奈川県生まれ。2010年朧の頃から新宿に毎夜出没。現在、新宿歌舞伎町俳句一家「屍派」取り纏め役、砂の城城主にして、佐藤文香の師匠。

  六人で一人を口説き百千鳥           翼
  お姫様だつこで春野へ行かないか
  仮設便所でできる体位や祭混む
  強姦のやうな診察蝉時雨
  靴下を脱がうとしないけど全裸
  寝たままで扇風機まで行く方法
  冷房車乗り続けても降りても死
  悲しみを悲しみで消す星月夜
  四トン車全部がおせち料理かな
  初雪の町に聖帝十字陵
  自殺者を無視して進む文化祭




 

    

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