2015年7月5日日曜日

荒井みづゑ「片蔭を行き片蔭を帰り来る」(『絵皿』)・・・



荒井みづゑ句集『絵皿』(書肆麒麟)は、著者自装。荒井みづゑは故・糸大八夫人である。初めて知ったのだがフレッミシュ織絵画作家であるという。そして、「円錐」同人である。
作品は、眼前にあるごく普段の光景を静かな気息で描いている感じの句柄である。飾らない良さがにじみ出る感じの人という印象だったが、たがわず、本句集にも、誰の跋文も推薦文も、帯文もなくそのままさし出され、置かれているような感じである。その約しさがいい。
まさに糸大八にのみ師事したということでもあろう。愚生等にとっても糸大八の闘病生活はいささか長かったという思いがある。その闘病を励ますために「円錐」同人諸氏は糸大八句集『白桃』(糸大八句集刊行会、2011年)を刊行した。それは、同時に夫人・荒井みづゑの献身的介護を少しでも励ましたいという祈りでもあったように思える。
ともあれ、いくつかの愚生好みの句を挙げて、今後の荒井みづゑの健勝を祈りたい。

      かたまつて男あらはる花辛夷       みづゑ
      かたちなき水美しき忍冬
      小さき荷こしらへてをり鳥雲に   
      焼きたてのホットケーキに冬の蜂
      啓蟄の鴉に首を傾げらる
      玄関の高きに登る冬の蠅
      焼なすび絵皿にまさるいいお色      



                  ナツハギ↑


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