2015年10月6日火曜日

染谷佳之子「流星や海底に船今もあり」(「麟」54号)・・・



「麟」(麟俳句会)の表2には、毎号「文学としての俳句」というマニフェストが掲げられている。それが、この同人誌の志なのである。
柱は、「女性俳句研究」の連載である。現在、考察されているのは橋本多佳子。飯野きよ子と駒木根淳子でおのおの第7回目の多佳子研究となる。着実な営為だ。
ブログタイトルに掲げた句は「染谷佳之子の詠む戦争ー火蛾」28句からの作品である。
昭和3年生まれ、とあるから、

   自分史のはじめ三月十日の炎     佳之子

の句は、事実、彼女の生の在りようなのであろう。魅かれる句は多い。

  若かりし叔父叔母三月十日の忌
  反戦集会緑陰に乳母車置き
  花火船戦火で逃げし橋くぐる
  原爆忌句帳は白きまま昏るる
  ヒロシマ・ナガサキ以後を迂闊に踊りゐし
  流星や海底に船今もあり

各同人にも社会詠の句が、それぞれにある。
以下に挙げておこう。

  蝉時雨シュプレヒコール蝉時雨     山下知津子
  憲法九条炎帝は守り通す        飯野きよ子
  箱庭になしミサイルも原子炉も     駒木根淳子
  強行採決蝉時雨極まれり        野口明子




                アカノママ↑
  
  

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