2016年2月11日木曜日

堀之内勝衣「寒の雨駄菓子の色もこの世かな」(『大旱』)・・・



堀之内勝衣の句集名『大旱』(諷詠社)は、以下の句から、

  大旱の十ぺん訪えばいのち赫し        勝衣

堀之内勝衣は昭和18年、兵庫県尼崎生まれ。昭和45年より句作を始め、赤尾兜子「渦」同人とあるので、愚生が20歳代の初め「渦」に投句をしていた頃と重なっている。
堀之内勝衣には、『朝の鳥』(昭和51年)、『雲の峰』(平成21年)の二冊の句集がすでにある。従って『大旱』は第三句集。
「あとがき」には、

 句集『大旱』は私の息づかいであり、忘れたくない時間を書き綴りました。また、先師への念(おも)い、そして俳友諸氏あっての今である。心から感謝致します。

とあった。いくつかの句を以下に挙げさせていただく。

   晴天を暗しと言えり著莪の花
   妻が割れば花の如きか寒卵
   梨甘しおどけてみても昼ひとり
   夕立来て駅までの顔流失す
   陽炎と言う字やこれぞ非凡なる






*閑話休題・・

昨日10日、東京新聞夕刊の「太洋社、自主廃業へ 出版取次7位」という記事を読んだ。
愚生は書店にも長く勤め、「俳句空間」(弘栄堂書店版)や文學の森の仕事をした折には、刊行物の委託の納品などで、よく訪問していたので、出版業界の動向は今でも気になるのである。
記事によると、 「ピーク時の二〇〇五年六月期には約四百八十七億円だった売り上げが、出版市場の縮小で主要取引先を失った結果、十五年同期は約百七十一億円まで激減したと説明」とあって、さらに「取次四位の栗田出版販売も昨年六月、民事再生法の適用を東京地裁に申請し、同三位の大阪屋と経営統合を進めている」という。
もともと取次会社は、愚生が現役のころから、日販、トーハンの二大取次会社で業界シェアの70%以上を占め、事実上独占禁止法に触れるほどの独占状態にあった。さらに寡占化が進んでいるのだろう。 



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