2016年3月9日水曜日

北川美美「来た道をそのまま戻る寒の空」(「俳句新空間」no.5)・・・



順調なペースで発行されている「俳句新空間」。第3回攝津幸彦賞各賞の発表。前号と前前号の作品を読むと題して多くの作品が鑑賞されている。そして、平成28年新春帖には、流派を超えて23名の方々が参加されている。一冊500円。発行所は北川美美方(367-0023 桐生市錦町2-7-18)。
詳細は手にとっていただきたい。
ともあれ、ここでは新春帖から1人1句を以下に・・・

   まだことをなさず元朝の火を囲む      青木百舌鳥
   父かつて甲種合格冬の菊         網野月を
   寒い朝吐く息がみな霊に似て       大本義幸
   どれもカラフルどれも百円春浅し      神谷 波
   冬蝶のダリの時計に触れるかな      坂間恒子
   部品屋に部品を売つて年暮るる     佐藤りえ
   ふらここの匂ひ左右の手に熱し      瀬越悠矢
   僕の骨から要るだけの弾は萌ゆ      竹岡一郎
   風花やレゴブロックの街に住み       田中葉月
   鳥帰るサーカス小屋の小さき窓      仲 寒蟬
   秋天に飛ぶ鳥を見ず被爆の地      中西夕紀
   荷兮また句を案じをり海女の笛      秦 夕美
   タクシーを相乗りふっと雪女        羽村美和子
   軒深く伯爵領や春の闇          福田葉子
   淡雪や椿油を手の窪に          ふけとしこ
    東京白金にヒュースケンの墓を探した
   サルノコシカケ異人の碑銘半ば消え   堀本 吟
   初旅やいくつ入江に別れては       前北かおる
   行き逝きて神軍兵士冬の闇       真矢ひろみ
   歌麿のあれはぽつぺんあれは貝     もてきまり
   矢印の最後は空へ冬桜         渡邉美保
    〈遅き日のつもりて遠きむかしかな〉
   美しき病に伏せりすする白湯       夏木 久 
   母が死ぬ春の芝居の極彩色       筑紫磐井
   来た道をそのまま戻る寒の空       北川美美



                    ジンチョウゲ↑

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