2016年3月28日月曜日

夏木久「河骨や月の光を献杯す」(「We」創刊号)・・・



「We」創刊号(共同編集発行人、西田和平・加藤知子)、表紙には「短歌と俳句の文学誌」とある。九州在住者を中心とした同人誌である。創刊号の寄稿者に10名とあって、谷口慎也の名がある(愚生は歌人の方々には疎いので、この際は遠慮させていただく、ただ、全体としては、歌人の方の同人数の方が俳人の数を上回っている様子である)。
その谷口慎也は「「俳句とは何か」を寄稿していて、その結びは以下のように結語している。

  形式は無限の可能性を秘めて、間口を広げて私たちを待っています。そしてそれとの〈因縁〉の結び方は個々人、全くの自由です。あるひとつの様式を問い詰めることは大切ですが、、それと同じくらいの重さで形式の〈空〉であることを絶えず認識することはさらに大切なことであります。俳句における形式、あるいは芸能における型などというものは、実にいろんな可能性を飲み込むものですから。

参加者の一人、夏木久は「豈」同人でもある。
ともあれ、創刊を祝して一人一句を(発行人のみは一首を)・

    原子炉が点るこの世のひな祭り      谷口慎也
    日向の国の半分は晴れシロナガス鯨    宇田蓋男
    春雨の刻む疵痕遅刻坂           江良 修
    枯れはじめている野原聴く野原      柏原喜久恵
    百浦に百の秋ある対馬かな        島松 岳
    カメラで覗かれた胃で雑煮食う      瀬川泰之
    青年の胸やシャワーを拭き残し      瀬角龍平
    淋しさや団扇ひとつを楯として       千原蘇堂
    枯野まで回転木馬乗り継げり       夏木 久
    ふるさとの山みな低し稲の花       宮中康雄
    闘争の寒月百歳までマドンナで     桝田傜子
    炎にも水にもなりてまんじゅしゃげ    加藤知子
    浅田真央の「んー」の音程Gですか 自衛隊ヘリの音より高い  西田和平 



                                 
                                                 ハナモモ↑

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