2016年4月28日木曜日

秦夕美「絶海へ翔つそぶり見す注連飾」(「GA」74号)・・・



「GA」は秦夕美の個人誌。巻頭は「よしゑやし」40句。他に各国名を詠み込んだ「君や知る」10句(漢字の国名にはルビがほどこしてある)。二編のエッセイ「とぜん」「宅配タクシー」。「蕪村へ」(蕪村句二句のエッセイ)。兜子の句を発句に、脇起十八韻〈「春雷」の巻〉の独吟。「あとがき」を入れて22ページの冊子。いつものことながら秦夕美ワールドなのである。
「宅配タクシー」とは何のことだと思ったら、近所のスーパーで毎週木曜と日曜日に二千円以上の買物をすると、品物と一緒に買った本人も一緒に乗せて自宅まで無料で送り届けてくれるのだそうだ。品物は玄関の中まで運んでくれるというから年寄りには、有り難い。福岡ではそのようなサービスが行われているのかと・・・、このアイデア、東京でもできないものかな?
以下は「君や知る」より、

   野薊の刺繍せつなし瑞典(スウェーデン)
   丁抹(デンマーク)うまれの家鴨いばら咲く
   かくありて海市など見ぬ柬埔寨(カンボジア)

ここで思い出したのだが、確か「WEP俳句通信VOL91」にも秦夕美は特別作品30句を「悲歌楽歌」と題して発表していた。
以下はその中から、

   にらいかない雲雀湧かしめゐて淋し
   ら行よりはじまる詩あり月日貝
   この世にし生るるさだめの蜃気楼
   ぐうちよきぱあ魚氷に上るならひかな
   鳴かずとばず穴を出でたる蛇は
   家霊ともならぬ男や蛺蝶   

実に変幻自在の句作り、句境というべきか。


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