2016年7月18日月曜日

矢田鏃「底抜けて悲しきときを暑さかな」(『石鏃抄』)・・・



矢田鏃(やだ・やじり)、1953年大分県生まれ。81年より永田耕衣に師事。神戸市在住。現在、「らん」同人。第三句集『石鏃抄』(雺工房)。
さしずめ次の句には、永田耕衣「白菜の道化箔(どうげはく)なる一枚よ」の俤がある。

    則天去私白菜のやうなもの      鏃

「あとがき」に言う。

 わたくしの内なるテーマは、命の大切さ、命から萌芽する〈愛〉の切実さについて自分の文体で書き続けることだと考えています。荒廃した日本の隅っこで執拗に問い続けることです。

それを直截に詠ったのが以下の句。

    ねつとり若葉第三の眼とは愛
    少年や愛で火達磨の晩夏よ
    赤い山いのちは愛の暗渠かな
    蔓物の最も端に愛はある

また、愚生好みの句を挙げさせていただく。

    金剛の全球なれや卵の中
    一葉二葉と風の中冴え返る
    謙譲や黒揚羽飛び批評だつた
    星月夜手を天秤の上に乗す
    



                    ムクゲ↑

0 件のコメント:

コメントを投稿