2016年8月2日火曜日

小島健「蛇の衣暮れては蛇に戻るらむ」(『自註現代俳句シリーズ』)・・・



『小島健集・自註現代俳句シリーズ』(俳人協会)は、自句自解のほどこされた著者自選300句のシリーズ本である。著者の創作の在り様をうかがうには手ごろな一冊というべきか。著者「あとがき」に、

俳句は本来独立した一句でしかないのに・・・・。蛇足かつ自由気ままな自註になってしまったようです。気楽に、笑って楽しんでご覧いただければ幸いです。

と記されている通り、気ままに書かれていて、創作の秘密にふれるというよりは、小島健の人柄に触れるような趣にあふれている(妻や子を詠んだ幸せ気分の句も多い、酒の句も)。
だが、創造される句もある。例えば、ブログタイトルにした句は以下のように述べられている。

    (へび)の衣暮(きぬく)れては蛇(へび)に戻(もど)るらむ   平成十五年作

蛇の抜け殻も蛇同様に不気味ですね。あるいは、夕暮には蛇に戻るかもしれません。ウーン、それは困るなあ。

というような具合だ。もう一つは、別の趣向を・・。

   今年竹叩(ことしだけたた)くやおうと揺(ゆ)れ返(かえ)す   平成二六年作

  「いやあ、いつの間にか大きくなったなあ」「おう」てなわけで。

ともあれ、以下にいくつかの句のみを挙げておこう。

   虫の音のはるかを父母の歩みをり    平成三年作 
   ゆく春の田螺ほろりと沈みけり       平成七年作
   月山を乗せて走れり花芒          平成十二年作
   狼は今夜出るぞと山の冷          平成十二年作
   鳥籠の四温の水のふくらみぬ       平成十八年作
   一生の一所を靡き冬芒           平成二〇年作
   日盛や暗きより声かけらるる        平成二三年作
   冬銀河時間の砂を撒きにけり       平成二四年作




   
   

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