2016年10月15日土曜日

山本つぼみ「ひた枯れて風よりほかは棲めざりし」(『自註現代俳句シリーズ・山本つぼみ集』)・・





『自註現代俳句シリーズ・山本つぼみ集』(俳人協会)は、著者自選300句に自註を付したシリーズの一冊である。引用する。

    ひた枯れて風よりほかは棲めざりし   平成元年作

         相模野はすっかり都市化した。わずかに残った面影
         をのこす公園も枯れ一色。大山颪が容赦なく。

    旅のまちかど芯まで燃えてななかまど   昭和五一年作

        北海道への旅は土岐錬太郎師恋いの旅、さらに
        「アカシア」誌友との交流がある。ななかまどの実が
        真赤な街路樹の町。

    ときには青のみの余韻に虹澄めり      昭和五九年作
    
        飯田祐見子は城太郎師の一番若い弟子で、美しく
        聡明な女性だった。白血病で私の勤務する病院に
        入院していた。相寄って句集『虹』を上梓した。

土岐錬太郎師とは、北海道・新十津川の僧侶で、日野草城に師事、「アカシア」を創刊、八幡城太郎、小寺正三、楠本憲吉、桂信子なども参加した。城太郎師とは、八幡城太郎、相模原市の名刹青柳寺の住職。1953年に「青芝」を創刊主宰した。『現代俳句大辞典』・伊丹啓子の解説には「新興俳句の系譜を引き、清新な生活感情をうたうことをめざす」とある。城太郎亡きのち、山本つぼみは、市川愁子とともに副主宰を務めた。
以下は、同集より、句のみ。

    猛き夏心よわりをみすかされ       昭和49年作
    ははも父も雪の戒名雪に眠る      昭和55年作
    敗戦忌骨(こつ)なき兄の六十年    平成一七年作
    戛々(かつかつ)と軍靴脳裡に八月忌 平成二五年作
    衣更ふ尺度合はざる世の隅に     平成二六年作   

山本つぼみ、1932年、神奈川県生まれ。


                                           
                                           今夜の月↑

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