2016年12月4日日曜日

和場ゆすら「落蟬のまなこに空の遠くあり」(第18回HIA俳句大会)・・・


               講演するグエン・ヴー・クィン・ニュー氏↑

本日は午前中、市ヶ谷アルカディアで行われた国際俳句交流協会の「第18回HIA俳句大会」のグエン・ヴ―・クィン・ニュー氏の講演「ベトナムにおける俳句」聴きに出掛けた。現在のベトナムにおける俳句事情について歴史的な経過を含めて分かりやすい、日本語での講演であった。575を基本とする俳句に近い音節を選んで、ベトナム語の音節で作ると6音+8音の形式の短詩形が生まれ、日本の俳句より短い、世界で極小の詩形が誕生するかも・・・など、興味深い内容の講演だった(ベトナム語での俳句の募集は、基本は3行の短詩形で、各行の文字は5・7・5を超えず、季語の有無は問わない)。
それにしても、日越の交流と俳句普及についてのさまざまな文化的、または政治的な困難があることをうかがわせ、その困難にもめげず、いわばベトナムにおける俳句開拓者とでもいうべき活動には敬意を禁じえないものがあった(ベトナムでの俳句コンクールでは日本語、ベトナム語の両方で募集を行っていることも)。

とはいえ、俳句は五七五を基本として、雨季と乾季しかない値域もあり、季語を入れることの難しさも述べておられた。
講演に先立つ有馬朗人会長の挨拶には、具体的に俳句をユネスコの無形文化遺産に登録する運動に邁進し、後世に遺るような、世界遺産に相応しい俳句を作ろう、との檄が飛んでいた。



ともあれ、以下に俳句大会の賞に輝いた作品を以下に挙げておこう。

・国際俳句交流協会賞
  落蟬のまなこに空の遠くあり     和場ゆすら
  里山の小さくなりし踊りの輪      藤井敏子

・俳人協会賞
  踊る輪を抜けて授乳をしてをりぬ  和田 仁 

・現代俳句協会賞
  道化師の笑ふ白夜の船着場    中武純子

・日本伝統俳句協会賞
  囀りをきく白書院黒書院       中川 素子

・日本経済新聞社賞
  平成の天皇の声終戦忌       清水京子

・ジャパンタイムズ社賞
  広島や海の際まで夜涼の灯    境 幹生

他に、国際部門では木内徹、木村聡雄選で各二編の特選(言語・英語)があった。




   

0 件のコメント:

コメントを投稿