2016年12月18日日曜日

後藤昌治「美しき人うつくしく在る水澄めり」(「韻」第23号)・・・



「韻」は元「地表」のメンバーが多く、今号の特集「-季語を考える」にも小川双々子健在の頃の「地表」(VOL6.NO4)から「季語のことなど」が再掲載されている。
また、愚生などが只今現在聞いておきたいことなどを、記憶を蘇らせて、後藤昌治が連載「長い時の流れの中(五)」で書いている。俳句史における戦後の時代の交友、俳壇的な事項など興味は尽きない。加藤かけい「環礁」にいた頃の阿部鬼九男にも触れて書かれている。 
ほかに今号には「豈」同人でもある妹尾健の薬籠中の俳人、「大谷句仏上人覚書」の寄稿が掲載されている。
ともあれ、実質不定期刊「豈」とは違って年三回刊がきちんとまもられていて、毎号充実した内容である。以下に一人一句を挙げておきたい。

   曼珠沙華巫女行列についてゆく     片山洋子
   雁来紅じりじりと焼く鉄の骨        金子ユリ
   秋茜むかしはわれにまつはりし     後藤昌治
   澄み水を汲み純粋になりにけり     佐佐木敏
   曼荼羅のところどころにさるすべり   谷口智子
   踊る輪を仄暗くして死の座る       千葉みずほ
   ゆく先はくろはらいそへ独活の花    寺島たかえ
   もみぢするからだの芯をさしだしぬ   永井江美子
   深海魚おほきな貌の十三夜       前野砥水
   千羽鶴吊るす長さの秋日和       水谷泰隆
   白桔梗青桔梗風が止んでゐる     森千恵子
   塗椀の内の闇なる黄落期        山本左門
   少女らの青春の私語こぼれ萩     依田美代子
   雨はげし曼珠沙華蕊ふるへをり    米山久美子
   風になる友来ておりぬ吊し柿      渡邊淳子
   入口は添水や黄泉の水あかり     千田 敏
   からすうり大国病んでゆくものを    小笠原靖和



 

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