2016年12月10日土曜日

林亮「かたちあるものから消ゆる冬の霧」(『高遠』)・・・



林亮(はやし・まこと)昭和28年高知県生まれ。高知市在住。
『高遠』(私家版)の「あとがき」に、

前句集「高知」(平成二十六年十二月刊)以降の約二年間の作品の中から、六百四十句を選んでみました。今回も句集の名には迷いましたが、好きな二つの字、「高」と「遠」とにより「高遠」としました。

とある。選んだというからには、収録された句を超える句がはるかに多く在るということだろう。多作ぶりには敬意を表したいが、愚生のような年寄りには、読み通すのが少ししんどい。
昔と言ってもそう遠くない時代の俳人の句集に収録される句数は現在のように多くなかったように思う(全句集は別にしてせいぜい200句程度だったような)。確かに今は300句や400句は当たりまえになっているようだ。
例えば、同じ季語の句は、どちらかを選んで、あとは捨てるということをしていたように思う(作者自身にとっては捨てがたいだろうけれども・・・)。
ともあれ、いくつかの句を挙げておこう。

   表裏消えかけてゐる薄氷      
   形代が先流水がその後を
   今がその五十年後の冬銀河
   壁に掛かれり外套もその影も
   流れねば水といへども冬ざるる
   一本の棒が養ふ焚火の火
   南部鉄瓶湯気よりも音を立つ
   火の中に厄の薪の燃えつづく
  


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