2017年5月23日火曜日

山口昭男「麦秋や土よりはがす鳥の影」(『木簡』)・・



山口昭男『木簡』(青磁社)、集名は以下の句から、

  木簡の青といふ文字夏来る     昭男

平成22年に「秋草」を立ち上げてから7年とあり、「あとがき」には、

 「秋草」七年の三百八十八句をまとめ、第三句集を『木簡』としました。(中略)
 これからも俳句における詩情を求めながら「秋草」と共にゆっくり歩んで行ければと願っています。

とあった。句は、波多野爽波・田中裕明門下らしく、おおむね平明である。それにしても、俳句の詩情というのはなかなか難しい。ともあれ、いくつかの句を挙げておこう。

  薄氷の表の方が暗かりき
  白鳥小学校講堂青嵐
  冬の蝶水のあかりを嫌がりぬ
  指でよむ紙の表や秋の水
  吾が肝に鈴つけてみん朧の夜
  煤の紐見事に水を弾きをり
  足音のいまだをさなき時雨かな

山口昭男(やまぐち・あきお)、1955年神戸市生まれ。



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