2017年6月3日土曜日

東徳門百合子「火事に入る兵隊古き井戸を出て」(佐々木通武『影絵の町』出版記念会より)・・・・


             佐々木通武氏↑

 今日は佐々木通武短編集『影絵の町ー大船少年記』(北冬書房)の出版記念会が日本キリスト教会館で行われた。ほぼ十年ぶりくらいに会う人もいて、さすがに年齢を重ねた分の老い皺が思われたが、それは愚生も同じように見えたにちがいない。
 会は、冒頭の挨拶に、版元・北冬書房の高野慎三氏から始められた。
 ブログタイトルに挙げた句は当日配布されたコピーに掲載されていた東徳門百合子(ひがしとくじょう・ゆりこ)「『影絵の町』ー大船少年記ーに寄せて」の21句のうちの一句である。つまり『影絵の町』19章を下敷きにしながら各章に句を献じたものである。上掲句は第4章「赤い闇」のものだ。
他にも、

  6章 我が観世音 死を想ふ蛇口を落つる秋の水
 12章 他人の家  山吹をもらふ昔の家訪ね
 14章 終りの雪  先生の好きな子ばかり着ぶくれて 
 18章 真昼の決闘 決闘は僕らが矜持杉の花

などがあった。




じつは愚生の5月16日のブログで、佐々木通武にはすでに三冊の句集があって。その第一句集が『監獄録句』であったのを、第二句集と誤記してしまっていた。ここに訂正しておきたい。正確には、第一句集『監獄録句』、第二句集『借景』(2003年刊)、そして第三句集『反射炉』(短歌も収載)である。改めて読み直すと『監獄録句』は一ページ六句組となっていて、録句の命名と連動したものであった。ここでは前回第二句集『借景』が見つからず、句を載せなかったので、あらためていくつかの句を『借景』より挙げておきたい。

   反テロの囀り猛し国家っテロ    通武
   冬木立他力を頼む自力かな
   足病みし汝に声枯れて山の月
   汝が母を母さんと呼び遅桜
   曼陀羅や日本チャチャチャ梅雨の夢
   陽を借りて陽を引き取りて秋霞




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