2017年12月4日月曜日

佐藤りえ「海市見てより繪のなかの潮鳴る」(「guca」リニューアル創刊号)・・



「guca」短詩系マガジン[グーカ]リニューアル創刊号、テーマは「短詩への扉をつくる人たち」(編集部は太田ユリ・佐藤文香)。
 特集1は新装版『角砂糖の日』で「編集者・平岩壮悟に聞く・新しい扉の作り方」、短歌作品は服部真里子「変身」、短歌と文は、枡野浩一「布ならば三千円で売れるけど三千円の紙は売れない」。枡野浩一は相変わらず面白い。伊勢丹新宿店で店員として働き、自分の短歌をスゥェットに印刷した、イメージとしてはTシャツに短歌が印刷されているものと思えばいいらしいが、服飾ブランド商品として展示販売しているという話だ。
枡野浩一とは、大昔のことだが(攝津幸彦没後、まもなくの頃だったとおもうが)、「豈」東京句会を新宿・サムライでやっていた頃、マガジンハウス「鳩よ!」の句会取材で来て、句座をともにしたことがある(愚生の作をふくめてどんな作だったか全く記憶がないが・・)。
 特集Ⅱは『天の川銀河発電所Born after1968現代俳句ガイドブック』の編著者・佐藤文香インタビューが掲載されている。中に、

  これから、もっと読みたいのは口語の俳句です。今回公募で選んだ五人は五人とも、文語・口語に意識的な作者でした。特に佐藤智子さんは新時代の口語俳句にあたるんじゃないかと思って。口語だからわかりやすい、というのではなく、今のしゃべり言葉が本気で俳句に攻めてきたような句がいいですね。

 とあった。愚生はそれに是非、現代仮名遣いで書かれる奔放な作品がでてくれば、もっとイキイキとするような気がする。それは、作品として表現されたときに、歴史的仮名遣いがどうしても、ある種の安定した情緒からのがれられないからだと思う。現在に秩序を与えてはいけないのだ。
 他には「々々の絵俳句」で柳本々々、この人、多才だな、と思った。
 ともあれ、以下に俳句作品から各人一句を挙げておこう。

  真葛原何もなかつたのに起伏      クズウジュンイチ
  夕凪や錠剤各種凡て白         半田羽吟
  餡ぱんの顔投げられて鳥雲に      佐藤りえ



0 件のコメント:

コメントを投稿